これまで全国のさまざまなクラフトコーラメーカーと出会ってきました。多くの経験と交流を重ねる中で、あらためて地元・岡山に目を向けたとき、地域に根ざし、お客様との距離が近い場所でバーガー&コーラ屋を営むテンズさんのようなプレイヤーが考える「コーラの在り方」を知りたいと思いました。

土屋「本日は岡山県岡山市奉還町にてバーガー&コーラ屋を営む”自家製コーラとハンバーガー テンズ”の天将さんこと、テンさんに会いにきました。テンさんとは4年前のクラフトコーラフェアからの付き合いになりますね。屋外イベントでは何度もご一緒することがありましたが、こちらの実店舗にくるのははじめてです。訪問を楽しみにしておりました」
天将「今日はよろしくお願い致します!」
土屋「テンさん賢いお方なのでディープで面白いお考え聞けそうだな~とワクワクしてますよ」
天将「プレッシャーをかけるのは辞めていただきたい笑」

土屋「そんなことしませんよ笑 あらためて中を見させていただくとアメリカ要素たっぷり…かと思えば、暖簾や提灯など日本を感じさせる和の要素も見受けられますね。当初からお店のイメージは、このように和米文化が入り混じるように構想されていたのでしょうか」
天将「ハンバーガー屋さんってアメリカンなお店が当たり前に多いので、違った雰囲気にはしたいとは思ってました!たまたま自分の好きな物が日本の工芸品ばっかりだったので自然とこんな形に。日本男児としてジャパカジ(ジャパニーズカジュアル)に誇りをもっています!」
土屋「なるほど、テンさんらしい、愛のあるお言葉ですね!そういえば数年前には宇野でも活動されていたはずですが、そちらでもお店を構えていたのでしょうか?」
天将「いえ、宇野のお店はあくまでシェアショップでしたので自店舗はこちらが初めてなんです。今年で3年目、小さな空間ですがこだわりがたっぷり詰まっています。最初は何もなくてがらんとしていてちょっと寂しかったんですが、物が増えていくうちにだんだんとテンズらしさが出てきました。飾っているものの中には、いただきものもいくつかあるんですよ」


自家製バーガーとコーラ – Homemade burger and cola

土屋「自店舗だからこそ味わえるメニューも盛りだくさん。厨房の鉄板からはジュージューとお肉を焼く音が聞こえてきて食欲そそります!テンズの自家製ハンバーガーの特徴・こだわりを教えてください」
天将「当店のお肉は、牛肉と豚肉をミックスして作ったブロック肉から丁寧に筋・脂を取り除いたハンドチョップパティです。牛肉だけでパティを成形してももちろん美味しいのですが上手に焼かないとパサつきますし、縮まって食感を損なうこともあるので、いろいろな試行錯誤を重ねていまの配合に辿り着きました。
味も食感も最高の状態に整えて、お客様へ提供しています。妥協はいっさいしません。バンズも知り合いのパン屋にお願いをして、テンズにあった特製のパンを作ってもらっているんですよ」
\ 完 成 /


天将「上ベーコンチーズバーガーと季節のコーラです。今回の季節のコーラはパインになります」
土屋「迫力満点のボリューム、美味しそうですね!具材が重なって層になって、なんというかデカイ笑 どうやって食べたらいいのか迷ってしまうのですがおすすめの食べ方とかありますか?」
天将「自由に、好きな食べ方で大丈夫です!ナイフとフォークで切ってもいいですし、紙で包んで、手でぎゅっと潰して、かぶりついてもOKですよ」
土屋「……んんっ!めっちゃくちゃ美味しいです」
天将「ありがとうございます、喜んでいただけてよかった!」
土屋「自家製ベーコンは厚いのに、柔らかくて肉汁たっぷり。食べ応えもあって最高ですね!
季節のコーラも、果実の優しい甘さが特徴的でスパイス入りなのに抵抗感なくゴクゴクいけます。テンさん、コーラにはどのようなこだわりがありますか?」
天将「コーラは9種類のスパイスをベースしていまして、ハンバーガーとセットで食べた時のペアリング、特に飲んだ時の爽やかな味わいと喉越しの良さを大事にしています。細かいですが、使用する炭酸水はウィルキンソンにこだわっていて。どのメーカーの炭酸水よりも泡の粒々が小さくて、舌触りが良くてお気に入りなんです。あと、使っている食材もカラダに良いものを選んで使うようにはしています。
ただ僕は、コーラもバーガーもあくまでジャンクフードであるという考えが根幹にあるので、あまりオーガニックや地産地消にとらわれず”美味しいものを作る”ということを大切にしてます」
土屋「一般的にはジャンクフードと聞くとガッツリ系・手軽にパッと食べられる・ハイカロリーなイメージが思い浮かびました。
テンさんは、ジャンクフードについてどのような考えをもっておられるのでしょうか?」
天将「言葉で表現するのは難しいですが、”フランク”という言葉が僕のイメージに近いかもしれないですね。身近な存在で、食べたい時に手軽に味わえてお腹を満たしてくれる。綺麗すぎず、親しみやすいイメージです」
土屋「なるほど。これまでコーラがジャンクフードであることをここまで意識しては製造に取り組む方が身近にあまりいなかったので新鮮です。テンさんらしい視点でとても素敵だと思います。大学3年生ぐらいの時に、アメリカに行かれたことがあるとお聞きしましたが、そうした現地での経験が今の感覚につながっているのでしょうか?」
天将「当時は“これを学びたい”といった明確な目的を持っていたわけではないので純粋に旅を楽しんでいた気がします。でも、自分では気づかないところでなにかしら影響を受けているところもあるのかもしれませんね。もともとアメリカ文化はずっと好きだったんですが実際に現地にいくとまだまだ自分は考え方も価値観も、日本という国の枠から超えられていないなとは思いました。それが一番の気づきだったかもしれません」
大切にしていること – Important
土屋「いま、ツチヤコーラではカップ提供に加えて、原液瓶も販売しています。
テンさんのコーラも本当に美味しいんですが、持ち帰りできるRTDタイプ――たとえば原液瓶のような形での販売は、検討されたりしないんですか?」
天将「今のところは考えてないですね。原液瓶で仕込んだコーラって、飲むときに“冷やす”とか“炭酸を用意する”といった工程が入るじゃないですか。
それによって、飲むまでのハードルがちょっと高くなってしまう気がしていて」
土屋「なるほど。すぐに飲めないっていうのは、確かに自分も原液瓶を提供するうえでデメリットとして感じているところですね」
天将「テンズでは、“食べるときのシチュエーション”もすごく大切にしているんですよ。テンズのバーガーを片手に、好きな場所・好きな時に頬張って、お客様の頭の中を“美味しい”と“楽しい”という気持ちでいっぱいにしたいと思っているんです。ですので、できる限りその妨げになるものは取り除きたいですね」
土屋「テンさんが強いこだわりを持って商品づくりをされているからこそ、妥協したくないという思いが伝わってきます。テンさん、僕よりも若いのに考え方もしっかりしてるし、尊敬します」
天将「今でも故郷・真庭とは繋がりがあるんですが、あの地域は本当に“楽しいこと”に貪欲で、発想も自由だし、行動力もある方ばかりで。そんな地元のマインドは、僕にとってすごく大切なもので、いつかは自分もそんな大人になれたらいいなと思っているんです。いまでも自分は、大人達の中にまだ混ぜてもらっている立場に過ぎないと思っていて」
土屋「テンさんの人柄の良さは言葉の数々に溢れています。きっと、遠くない未来に自信を持って“その大人たちの一人”として活躍する日が来ると思いますよ。美味しいバーガーやコーラを求めるだけでなく、テンさんに会いに来るお客様も多いんじゃないでしょうか」
天将「そういっていただけると嬉しいです。“会いに来たよ〜”なんて声をかけてもらえると、僕自身もすごく元気をもらえます!」
土屋「本日はありがとうございました。よければ、最後にテンズとしてこれからの展望があればお聞かせください!」
天将「いま、こうしてお客様の前で美味しいハンバーガーとコーラを提供できることにとても満足しています。だからこそ、手を広げすぎて“テンズ”のブランドを損なわないよう、自分たち自身が楽しむ気持ちを忘れずに、これからもテンズらしい“ドキドキ”と“ワクワク”を大切に届けていきたいと思っています。今日はありがとうございました!」
